会社裏の路地に棲みついた親子猫

 2週間ほど前から、会社裏の路地(とはいえ、空調の室外機を置くだけの狭小な
空間)に猫の親子が居る。
 親猫が子育ての為に、そこが好適と踏んだらしい。
 当初、仔猫は黒×1、白黒×2の三匹だったが、こないだの週末に妙に親が鳴いて
いるな、と思い見に行ったら黒は死んでいた。が、親猫としては納得できないのか、
クロネコヤマトロゴマークそのままに死んだ黒をぶら下げて鳴きながらウロウロ
している。
 もともと三匹のうちで最も小さく元気も無いように見えたが、そんな簡単に死ぬ
とは思っていなかったので、少し驚く。

 その後、黒の遺体は建物と建物の間の空間に放置された。やろうと思えば取り上げ
て埋葬もできるのだろうが、それには多大な労力が必要だ。なにしろこの空間は幅
40センチ程しかなく、両側は建物の壁が高く聳えている。人が入り込むにはきつい
空間なんである。黒の遺体との距離は5〜6mで、こちらは2階から見下ろす形で
観察する。

 黒の遺体はしばらくのあいだ、ただ寝ているようにも見えた。しかし、ふさふさ
していた体毛が雨に濡れ、また日射に晒されるうちに、遺体は腐敗し崩れてきた。
 そして、驚くほど短期間で頭骨と背骨しか確認できなくなってしまった。そもそも
小さな体だったし、更に痩せてもいたんだろう。

 他の二匹+親猫は、まだ同じ場所に居る。黒が死んだ当初はさかんに鳴いていた
が、一旦納得すると今度はどうでも良くなるみたい。というか、黒の遺体は視界に
入らない模様。