聞いていて、もしくは読んでいて無闇に腹が立つ言葉がある。
例えば、
「分かる人には分かる」というやつ。
この文言を嬉しそうに口にする奴とは仲良くなれない。ここに
込められた意図は、自分と一部の「分かる」人間のみでセコい小集団
を作り、他者を見下そうとするゲスな根性だ。いいよ俺はそんなの
わかんなくて。お前らで勝手に盛り上がってろ。でもって、大抵の場合、
この「分かる」が指す内容というのは極めてどうでもいい内容である
ことが多い。
「知る人ぞ知る」とかも同類だな。こういう物言いを好んで使うアホ
とは距離を置いた方がいいですよ。
さらに、
「〜までもなく」というの。
例を示すと、
『テレマークスキーのビンディングに求められる今後の課題が「安全性」
であることは、アメリカの心理学者マズローの欲求段階説を引き合いに出す
までもなく、自明のことである』
この例は雑誌に載っていた記述をうろ覚えで書いたものなので細部は異なる
が、大意は上記のようなもの。
『引き合いにだすまでもない』んだったら、そもそも書くなよ。上記の文章
からマズロー云々の部分を削除しても充分、意味は通じるじゃねえかよ。要す
るにこの文章の筆者は、
『俺はマズローの欲求段階説なんて小難しい事を知っているんだぞ。読者
諸君、俺って博識だろう!』
と言いたいだけなんだろう。ああやだやだ、虫酸が走る。
もちろん、「〜までもなく」には嫌味にならない正しい用法もあるのだが、
極めて悪質な例を取り上げてみました。