独擅場

 少し前に読んだ本に、独擅場(どくせんじょう)という単語があった。
私はずっと独壇場(どくだんじょう)だと思っていたので、

 『そうか私が今まで使っていた独壇場というのは、私の勝手な思いこみから
生まれた単語であり、実は間違っていたのだな。人前で言ったこともあったか
も知れない。きっとそれを聞いた相手は、“馬鹿な奴だなぁ”と思ったに違い
無い。』
 『考えてみれば昔から私は、エリック・クラプトンをクランプトンと言ったり、
リック・ウェイクマンをウェイマンと言ったり、バンデラスをバランデスと言っ
たり、造詣が深い、というのを“ぞうしがふかい”と読んだりしていた。今回も
同様の間違いなんだろう。とほほ。』

 と反省した。が、辞書を見ると、



どくせん-じょう ―ぢやう 【独擅場】
その人ひとりだけで、思いのとおりの振る舞いができるような場面・分野。ひとり舞台。
独壇場(どくだんじよう)。〔「擅」を「壇」と誤り、「ひとり舞台」の意から「独壇場
(どくだんじよう)」の語が生じた〕



 とあった。そうかどっちでも良いのか。ああよかった。
でも、これからどっちを使用したらいいんだろか。“せん”を使うのが正しいのだろうが、
今や“だん”の方が一般的なような気がする。

 一般化した“だん”を避け、わざわざ“せん”を使うというのもなんか嫌味ったらしい。
あ、でも“だん”が一般的というのも私の思いこみに過ぎない可能性があるので、ううむ、
困った。