先日、通勤時のヒマつぶしに週間文春を読んでいたら気になる記事があった。
タイトルは「直下型地震 高層タワーマンションがしなる恐怖」。
だいたいの内容は、免震構造の高層ビルは振動に対応して柔軟に動くが、上層階ほど振幅が大きくなるから
大変だぞ〜。といったもの。このほかにも0m地帯での水害や埋め立て地の液状化現象などについて言及し
ているが、話の流れは当然のように地震予測の可否に向かう。
その中の「宏観予測」について。これは科学的には測定できない予兆のことを言うらしいのだが、その例
として以下の記述。



「(大地震の)一週間ほど前になると変化は海に起こる。ボラやアオリイカの大群が発生した、イワシ
川を遡っていたという実例もある。地震の前日になると異常は陸上の動物にも現れ、犬が極度の不安感を
見せて震え、失禁して死んでしまった、カラスがベランダにビッシリととまり、家のほうを向いて低い声
で鳴いた、などが報告されている。ほかにも冬眠中の蛇が大量に路上に現れた、井戸水が急に濁った、
パック入り卵の黄身が全部二個だった、など不思議な現象例がある。」



 なんというか、とりあえず目に付いた雑多な現象を強引に地震に結びつけているような感もある。
 こういうのって、地震が起こった後に「そういえば地震の前日に急に犬が死んだっけ」、とか「カラス
が鳴いてたなあ」とか思い出すものであって、そうした際にはあらゆる事象を「地震と結びつける」という
バイアスが働きそう。「普段は真面目な夫が、急にアマゾンライダーの真似をはじめた」なんてのも地震
因果関係があるかのように思えてしまうんでしょう(これは違うか)。


 それよりも私が気に入ったのは、
「パック入り卵の黄身が全部二個だった」という現象例である。列挙された事例の中でも特に異彩を放つ
ヘンテコぶりだ。他の事例はまがりなりにも地震との因果関係を感じさせる自然現象だが、卵のパックは
自然現象というよりは生産・流通とかの問題ではないだろか。

 かつて鶏卵生産関係の取材経験のある妻さんによると、黄身が二つ入ってる卵は規格外品であるが故に
パッキングの際に排除されるらしい。また大規模な鶏卵生産者の中には、規格外品の有効活用の一環とし
て、こうした黄身二つ卵を集めて製品化している例もあるらしい。さっきの事例に出てた卵って、ひょっ
としたらそういう製品だったのかもね。

 と、言うわけでオチのない話でした。