どの作品だったかは忘れたが、谷甲州の「航空宇宙軍」シリーズの中にあった
シーン。
 主人公は超光速宇宙船での任務を繰り返し、地球標準時間でほぼ100年以上、
航空宇宙軍に所属してきたことになっている。
 で、宇宙船の狭い司令所内でコーヒーを飲んで一人思いにふける。

 「しかし航空宇宙軍のコーヒーってのは、100年以上前から変わらずに
 不味いな。」

 「…まあ、そんなコーヒーを100年以上飲み続けている自分も自分だが…」


 時間と空間の壮大さとは対照的な、こうした個人的みみっちさを上手く表現できる
のが、谷甲州の上手さなんだとおもぅ。

 私の勤める会社のコーヒーも、10年前から変わらずに不味い。まあ、そんな
コーヒーをガブ飲みしてる自分も自分だが…