豪快な産経新聞主張

 家では新聞をとっていない。主要な出来事なんかはネットで把握できるし、
新聞社が厚かましくも自称するような「深い分析」なんぞお目にかからないしなあ。
 だいいち、家に溜まる新聞紙を処理するのがめんどくさい。「森林資源の保全ひいては
地球温暖化を防止するために、オフィスのペーパーレス化を進めましょう」みたいな記事
も見かけたことがあるけど、じゃあお前ん所で出してる新聞もペーパーレス化しやがれ、
と言いくなったものだ。
 こんなふうに、どうも新聞(記者?)というのは手前の所行を棚に上げて大所高所から
愚民どもにご高説を垂れ流すような恥知らず、という印象がある訳で。あ、テレビも同じ
だな。反省しよう。

 で、反省はよいとして(よくないかも)、そんな私でもコンビニやキオスクで新聞を買う
ことはたまにあるのだが、その際に選択するのは「産経新聞」だ。
 他の新聞社の誌面は総じて単調そのものなのだが、産経の場合は素っ頓狂なコラムや社説
がしばしば掲載されるので、それを探すのが楽しい訳です。

 例えば本日の社説。

【主張】邦人船長拉致 共同対処で海賊封じ図れ


 東南アジアのマラッカ海峡で日本のタグボートが海賊に襲われ、日本人ら三人が拉致された。
この海域は日本の原油輸送の大動脈であり、沿岸国と協力した警戒行動をとってきてもなお、
安全確保が難しいことを示した。
 日本船籍の「韋駄天」が襲撃されたのはマレーシアのペナン島沖合で、海賊事件の多発
海域である。昨年末のインド洋大津波で、海賊の根城も被害を受けたらしく、しばらくは活動
が途絶えていた。

 「根城」なんて単語は久しぶりに見た。執筆者は「少年倶楽部」の世代かな。
 

 しかし、先月下旬に別のタグボートが海賊に襲われ、今月に入ってからもタンカーが襲撃
されて海峡通過の船舶に警報が出たばかりだった。

  (中略)

 自衛策としては、船尾の照明と放水しながら海賊の接近を防ぐしかない。日本の船は武装
警備に限界があるため、海賊に狙われやすい難点がある。海賊対策は海上保安庁が各国に呼び
かけて共同の警備訓練を実施してきた。しかし、高速で行動する海賊船を捕らえるのは難しい。

 中段の一文の意味がサッパリ分からん。日本語としても変だ。終始、放水せよってことなのか?

 効果的なのは、海賊の本拠地を発見して直接、攻撃用ヘリなどでたたくことだが、マラッカ
海峡は各国の領海が入り組んでいるため、沿岸国の主権が複雑に絡む。日本が主導権を発揮し、
素早い情報交換、緻密(ちみつ)な調整、強力な共同対処を図ることが望まれる。

 いきなり「攻撃用ヘリ」とは。このように、極めて短絡的な解決手段を持ち出す所が産経の
素晴らしい所だ。
 でも私としては、産経様にはもっと弾けて欲しい。今回の結論部分も、「攻撃用ヘリ」とか
じゃなくて、「艦砲射撃」なんかだと更に産経カラーが強調されて、私のような愛読者が大喜
びするのですが。