村さ来2

以前、「村さ来新子安店が凄い」という話しを中途半端に書いたんだが、どこが凄いのか説明。


村さ来新子安店」はけっこう前からある居酒屋で、なんの変哲もないチェーン店でした。メニューも当然ながらオーソドックスな「村さ来」のものばかりで、安定感こそあるものの、面白みには欠けていた。別に「村さ来」に面白みを期待する事もないし。


ところが、この8月になんとなく行ってみた所、その変貌ぶりに驚いた。


まず、料理メニューが変わった。オーソドックス「村さ来」メニューも残っているのですが、それ以外に「三浦・佐島の昼獲れ地魚・生しらす」、「三浦の契約農家直送の生野菜」、「自家製ベーコン」など、産直系メニューが加えられました。また、日本酒も「船中八策」「獺祭(だっさい)」など、今までに無い気合いの入り方。


で、魚も野菜も非常にうまい。特に野菜がうまい。「水なす、生食用コーン、オクラ、トマト」などを盛り合わせただけのものなんだが、どれも味が濃い。


聞くと、先代主人の息子さんが店を継ぐに当たって、このような改革を行ったのだそうだ。息子さんは日本料理の割烹でずーっと修行してたとのこと。チェーン店でもこういう風に跡継ぎするんだ。知らなかった。


村さ来新子安店」は、店の内装などは先代のままで、外観には何の変化も無い。でも、中身は全く違う店に変貌している。


でもって、この改革に当たっての息子さんのやり方は非常に理に適ってると思う。箇条書きにすると、


・内装に凝らず、メニュー中身の刷新に力を入れた
・三浦に近い新子安という地の利を活かして、契約漁師、契約農家を得た
・オーソドックスなメニューを残しているので、かつての「村さ来」を好む客を拒絶しない


特に重要なのが三点目だと思う。


近くの中華料理屋は、代が替わると同時に「今風の無国籍料理屋」を標榜し、内装も含め、まったく先代の面影を残さなかった。それが息子のやりたかった事なんだろうけど、残念ながら新子安には無国籍料理を望む客はそれほど多くない(と思う)。中華料理屋時代には昼、夜ともに繁盛していたが、現在は閑古鳥が鳴いてる状態だ。


要するに、先代が獲得した顧客を、息子は失った。


その一方、「村さ来新子安店」は、先代からの顧客を取り込んだまま、新たな客層の獲得にも成功するだろう。というのは、ここは人を連れて行きたいと思える店になったんですな。

例えばウチに友人とかが来た場合、「お勧めの居酒屋があるから行きましょう!」となります。で、「村さ来」に連れて行くと。すると、当然ながら「村さ来なんて、どこにでもあるチェーン店じゃん、なんか肩すかしだなー」などと思われる訳です。


しかし入って見れば、よくある「村さ来」とは中身が違う訳ですから、大いに驚くであろうと。8月に私たちが驚いたように。


そんなこんなで「村さ来新子安店」は居酒屋不毛地帯新子安にあって、きわめて貴重な存在となったのでした。