いまだに単位不足で卒業できなかったり、スタジオ収録当日なのに台本もビデオも
用意できていなかったり、踏んでも踏んでも車のブレーキが効かなかったりする、
そういう悪夢を見るのはなぜなんだろうか。


たいていの場合、これらの悪夢で明け方に一回起きて、


「おれはすでに卒業して数十年経つのだ」
「番組はすでに終わったのだ」
「車は無事だ」


と思い出してまた眠るのだが、また続きを見たりする。



あとは迫ってくる大波のイメージ。
こちらの視点は窓越しで、その半分の高さに達する水面と、はるか向こうから
次々と押し寄せてくる山脈のような波濤が「こないといいんだが」と思うこちらの
期待を打ち砕き迫り来るのであった。やだね怖いねー。
海でカヤックしてた時の、大きなうねりの間に落ち込んだ時の恐怖感がこのイメージの
元なんだろうか。



また不潔の夢も見る。
触れるのもおぞましく汚れ切った便所に抜き足差し足で入り、用を足さねばならない。
しかもこの便所は外から丸見えのようだ。恥辱だ。それより気になるのは、排泄物が
階下に落ちるこの便所の構造だ。階下の部屋は畳敷きの居間なのだ。畳に糞尿が滲みる。
これはあれかな、前に住んでた家の汲み取り槽を自力で改造したのが影響してるのかね。



あとは何度も見た(と思い込んでいるのかも知れない)不思議な街。
とてもいい、馴染みの飲み屋があることを分かっているので、そこに
行きたいのだ。その店は私の小学校時代の通学路の一本脇にある筈なんだけど、
毎回そこに至る直前に街自体が別の街になってしまう。下北沢とわかっては
いるのだが、現実の私は下北沢には数えるほどしか行ったことが無いので漠然たる
もんだ。この街は急に外国(多分ウィーンだろう)になったり、スキー場のリフト
乗り場になったりして(その後、エッジの効かない板で滑ったりする)、脈絡もなく
落ちぶれたオフィスビルの中のオフライン編集ブースになったりする。編集は間に合わない
予感がする。




悪夢というほどでもないけど、書いておけば後から面白くかんじることも
あるかと思い、書いた。