suwataku2005-06-22

 昨夜、築地ロケ後に会社から帰って妻と梅酒を飲んだら、異常な眠気に
襲われてそのままソファで寝入ってしまう。
 ふと起きてみるともう夜中の3時だ。

 ううむ。眠り薬でも入っていたのかな。

 紀田順一郎の「東京の下層社会」を読み始める。
この方の本を読むのは初めてではない筈なのだが、以前何を読んだのか
サッパリ思い出せない。

(実際に買ったのは文庫版なのだが、アマゾンに書影が無いので三一書房版をのせる)

(右肩の写真は、仲卸さんの店のイワシ。高級鮮魚店だけあって、イワシも綺麗)

 さて「東京の下層社会」を読み終わった。
明治期から戦前まで東京市内にあった貧民街における生活の様子、吉原の女郎たちや
紡績工場の女工たちがどのような搾取構造の中に置かれていたのかを、当時のルポを
引きつつ詳述する。
 当然、近親相姦やもらい子殺し、残飯売りなどの猟奇的な内容も頻出するのだが、
もちろん興味本位でこれらの内容を盛り込んでいるのではない。これらの記述は当時
の下層社会の構造を分析するための必要不可欠な要素と位置づけられる。

 この本は何度となく、「貧困は社会的な問題である」と訴える。そして、「社会的な
問題であるが故に、貧困者への福祉政策が必要なのである」と導く。
 さらに日本人にありがちな貧困者への認識、つまり「貧困者は勤労意欲、向上意識を
持たぬ怠惰な者」というステレオタイプな認識が、いかに福祉政策を立ち後れさせてき
たのかを説く。

 うん、なんというか表面上、この本に書かれているようなスラムは東京から姿を消した
わけなのだが、隅田川沿いのブルーシートの家々や多摩川河川敷の同様の家を見ていると、
貧困者を構造的に生み出してしまう、この国のシステムというのはあんまり変わってないの
かな〜、などと思う。

…明日は我が身だな。