JR川崎駅からバスで20分ほどの場所にある老人ホームに行く。

 このホームは5階建てで、特別養護老人ホームショートステイ、デイサービスを提供する
大規模な施設なんですな。
 ここで何をするのか?というと例によってボランティアだ。これまで私は知的障害者の施設
には行ったことがあるが、高齢者介護施設は経験が無い。そんなこんなと思うところあって、
今回やってみることにしたと。

 このホームでは、ボランティアはまずデイサービスからスタートする。その後段階が上がれば
特養やショートステイ部門にも行くんでしょう。ボランティアの登録システムや交通費支給など
も整えられており、こないだの知的障害者施設と比較すると非常にシステマチックな感じ。
(※こないだの知的障害者施設が悪い、という訳ではなく、単にシステムのはなしです。)

 既に前日に妻がボランティア参加を行っていたので、下駄箱やロッカールームの場所、
デイの主任さんへの面通し方法などは理解していたので、その辺はつつがなく済ませる。

 さて本日の利用者さんは24名くらい。女性18名に男性6名だったかな。10時の到着から
みなさん順々に入浴を行う。妻は昨日「ドライヤーかけ」を行ったそうなのだが、今日は
利用者さんが多くないためか、私にはその仕事はまわってこない。で、どうするかと言うと、
入浴待ちの方や入浴済みの方々とお話するんですな。

 若干、痴呆の入ってる方もおり、そうした方とは首尾一貫した会話は成立しないのだが、
内容はなかなか面白い。えーと、ここでは「風船卓球」というレクリエーションをやってます。
これは風船とウチワを使った卓球的な競技です。で、皆さんがこの競技に興じている様子を
ソファーで眺めてる男性一名。
 この方は身体的にはしっかりしておられるが、会話がループする傾向にある。また、どうも
ご自身が明晰な状態を保っているとの自負があるようで、「風船卓球」のような児戯はゴメン
だぜ!といった心持ちのよう。この方の横に座って話を聞く。召集令状など戦時中の話、戦後
の混乱期に台湾から引き揚げた話、近所に出来た病院の話、男が酒を飲むことに対して女は
うるさく文句を言うが、会社の付き合いってのがあるんだ話、あの職員さんは美人だ話など
がこれといった脈絡もなくループしつつ紡がれる。

 私は「○○さんも風船卓球に参加しませんか?」と促したのだが、やっぱり参加したくない
様子で、ソファーに座り続けていた…のだが、職員さんが声をかけると「しょうがねえな〜」
と参戦。ひとたびプレイヤーになると、周りの誰よりも熱中してウチワを振っておりました。

 なんか面白い。


 はたして私の行動はボランティアとして職員さんや利用者さんの役に立っているのか?
おそらく立っていないと思う。しかしまあ、初回から私みたいな素人が戦力になる筈もない
ので、良しとしよう。