カヤックラックを作る。

 これまで私のカヤック2艇は、家の前の駐車スペースに野ざらし状態で置いてあった。
こうした状態で置いておくと、カヤックにはいろいろな悪影響があるという。

 鴨川の「ZEN」ウェブサイトによると、

 雨の影響は汚れだけです。
 しかし紫外線はカヤックの素材にダメージを与えるので、深刻です。
 ゲルコートされたFRP艇は、ゲルコートが紫外線を防いでくれます。
 しかし、ゲルコート自体も日にさらしていると、退色してきます。

 もっと深刻なのはポリ艇です。ポリエチレンは紫外線に弱いです。
 ヒナタに置いておいたポリバケツがパリンと割れる。そんな状況になります。

 
 この他にも、野ざらしだとコクピット穴に猫が住み着いたりもするらしい。
これはいかん!ということで、カヤックラックを自作しようと思い立ったのがもう
一年以上前の事であった。その後ウダウダと何もせずに放置していたのだ。


 これではいかん!ということでラック用の木材をホームセンターに買いに行った
のがもう1か月前の事であった。買った後は何もせずに放置していた。いや、
ワリバシを使って1/100サイズの模型は作った。いきなり本番だと失敗しそう
なので、まずは模型をつくり、木材の組み方とか接合方法とかを検討したのだ。

 しかし模型を作ると、もう本物も完成したような気分になってしまい、1か月も
放置してしまったのだ。


 そん私だったが、最近は気候も暖かくなってきたので一念発起して製作に臨んだ。


 私のカヤックは2艇なので、これらを上下2段で置けるようにしたい。また、日射
を遮るためのシートもかけたい。
 この条件を満たすラックを作ればいいんだから話は簡単な筈だったのだが…。


 当初、私が考え、模型まで作ったラックのデザインは、木材を三角形に組み、接合
部分はロープで固定するものだった。

 しかし、これ模型だと簡単なんだけど実物だとかなり面倒くさいし、望むような強度
も出なそう。更に、「下段のカヤックの出し入れがえらく面倒」に思えたので、却下。

 およそ30分間かけて考え直し、ごくシンプルな二段ベット状のデザインに決めた。
これだと接合部分は全部90度なので、三角形みたいなややこしい事にならない。
(後に、45度での接合も必要になったのだが…。)

 手前の赤いラインはプラスチック製のベルト。ここを木材にすると下段カヤック
出し入れが面倒になるが、ベルトであれば着脱可能なので大変便利な筈。



 という訳で、かねて購入しておいた4cm角×3mの角材をノコギリで切断し、釘を
トカトントン!と打ち込んでゆく。両端の、ちょうど「日」の字のようなフレームを
作ってから、これらを3mのままの角材で接合すれば完成だあ〜!


 …と、けっこう安直に考えていたのだが、どうも「日」の字フレームがグラグラする。
というか、簡単に歪む。
 これは図を見てみれば当たり前な話で、フレームの内側で斜め方向にがんばってくれる
部材が全く無いんだから、外力にとっても弱いのだ。うう、完全な設計ミスだ。
 でももう角材はほとんど全部切っちゃったし、どうしよう。


 しょうがないので、余った木っ端みたいな角材で補強を入れる。ここで、木口を45度に
切断、という、私の木工技術では極めて困難な課題に挑戦するはめになった。
 で、かなりいい加減な切り方だったが、なんとか斜め方向の補強材を追加できた模様。

 しかし、この斜め補強材を入れても、ラックの長軸方向の強度は上がるんだけど、
「日」の字フレームそのものの強度はぜんぜん上がらない。
 かなりなげやりになってきた私は、もう手当りしだいに木っ端を打ち付け、余った角材
を「日」の字の内側にそえる、という場当たり的な補強を行うのでした。

 そんなこんなで作業開始から約2時間、自作カヤックラックは完成した。
2艇をのせてみると、なかなかいい感じじゃないですか。強度は充分ではないが、いきなり
倒壊する恐れもなさそうだ。
 私のようなド素人の木工にしては良い出来なんじゃないかな?とすら思う。

 きれいに上下2段に並んだ様子をしばらく眺めてから、工事現場用のブルーシートをかける。
ブルーシートはあんまり美しくないので本当はかけたくないんだけど、日射を遮る必要がある
ので、しょうがない。
 (ブルーシートには紫外線を遮る効果は無いそうなんだけど、気休めということで。)

 風をはらまないよう、ゴムバンドでぐるぐる巻きにして本日の作業は終了。


 しかしあれだ。こうしてラックづくりにいそしんだんだけど、肝心の「カヤッキング」には、
もう1年以上行ってないんじゃないか?俺。そろそろ暖かくなるし、また西伊豆あたりに
行きたいもんだ。でも仕事とかボランティアもあるし、いつになることか…。