10月10日に関する記述

 朝3時過ぎ、船員さんのノックで目覚める。小樽着が04:00なので、昨夜のウチに
目覚ましを3時くらいにセットしておいたのだが、当方のミスで鳴らず。更に船内放送の
ボリュームも絞っていたため、我々は寝坊したのである。

 慌てて室内を片づけ、妻さんは化粧する間もなく下船となる。

 小樽はようやくしらじらと夜が明ける時刻。海っぽく冷たい空気が気持ちよい。
ターミナルで朝食を摂り、妻さんがトイレで化粧を済ませた後、走り出す。

 小樽界隈を走ったのは何年も前の事なのだが、道はよく憶えている。当時は小樽築港に
イカル小樽がオープンし話題となっていたのだが、今では別の経営体が入ってるみたい。

 余市を過ぎ古平に至る道のりには、たしかローソク岩がよく見えるポイントがあった筈。
なのだが、無い。無くなってる。どうやら豊浜トンネル崩落以来、海岸線沿いのトンネルが
次々と内陸側に移されているためらしい。妻さんを驚かせられなくて少々残念だ。

 積丹町役場前のバスターミナルに駐車して、黄金岬の突端まで遊歩道を歩く。本当は台風
による倒木のため通行禁止なのだが、無視して侵入したのだ。
 道すがら、木の幹にエゾリスを発見。カラスも多いけど、こういう生物もちゃんと居るん
だな。歩道には穴の空いたクルミの実も落ちている。

 さて車に戻るとガソリンが殆ど無い。どっかで給油しなくてはならないのだが、どこも
営業していない。スタンドを探して古平まで戻り、再び積丹に戻ったため、更に残量が乏しく
なる。ううむ。トランクにMSRのフュエルタンクが有るが、中は空っぽだ。

 恐る恐る積丹町内を徘徊し、「一見すると営業してなさそうだが実は営業中」のスタンド
にたどり着き、事なきを得る。スタンドの婆さん曰く、今回の台風被害は激甚で、洞爺丸台風
匹敵したとのこと。「あたしゃ、洞爺丸台風の時は女学生だったのよ、って歳がバレちゃうね(笑)」


 美国を過ぎ、婦美地区に入る。以前私が居候させてもらっていた高野ファーム、そのお仲間である
上原さんの農場に行ってみたのだが、かねて聞いていたとおり、離農後の廃屋だけが残っていた。
 ここに手伝いに来たり、髪を切って貰ったりしたのだが、今は草深く埋もれている。住居だった建物
に入ると、電気釜や座布団など生活感のある雑多なものが放置されており、悲しくなる。


 気を取り直し、高野ファームに向かう。丁度、早朝の作業が終わった後の休憩時間だった。主の健二
さんに、これまでの音信不通を詫び、泡盛を渡す。以前は無かったテレビとビデオがピアノの上に乗って
いる。台風によって農場内のプレハブ建築の幾つかが倒壊し、その後始末が進んでいる。
 今、農場の手伝いをしているのは米国からきたエミーさんという女性。軽く会話するも、思ったように
英語が出てこなくて困る。

 その後、積丹カヤックスに寄るが西村さんは不在。することも無いので神威岬積丹岬余市のニッカ
と定石通りの観光コースに妻さんを案内する。

 
 明日、カヤックに乗れるかどうかは微妙な所。