10月17日に関する記述

 宿を出て、天狗山ロープウェイの駐車場に自動車を残置する。ここから路線バスで小樽駅に行き、
普通列車およびSLニセコ号を駆使して蘭越駅まで往復し、再び小樽駅からバスで駐車場に戻り、
自動車をピックアップする。これが本日のプランである。
 どうでもよいことだが、ユースの朝食はうまくもなんともなく、かつ量も少なかった。

 小樽〜蘭越間のすべての区間、SLニセコ号に乗車できればよいのだが、実はそうも行かない。
SLニセコ号の運転区間は札幌〜蘭越なのだが、うち札幌〜倶知安間は全席指定であり、残席は無い。
 このため我々は普通列車倶知安まで先行し、そこでSLニセコ号に乗車。蘭越までの往復区間
SLを満喫する。そして再び倶知安普通列車に乗り換え、小樽にもどるのである。このナイスな
プランはもちろん自分たちで編み出したのではなく、親切な駅員さんが提示してくれたのである。
 さて小樽駅にSLニセコ号が入線してくる。先頭車両はSLではなくディーゼル機関車(DE15)。
ここでDE15は後尾にまわり、C11による牽引が始まる。

 SLも良いのだが、ディーゼルも非常によい。特に運転席が進行方向ではなく、車体内側90°に
配置されているのが良い。運転士はスノーボードに乗るような位置関係で進行方向を見るようだ。

 入線したSLニセコ号を後目に、我らは普通列車倶知安に向かう。こうして列車に乗るのは本当
に久しぶり。京浜東北線とか山手線には毎日乗っているが、あれは別物だ。
 景色の良い軌道脇には、後続のSLを写そうとする好事家たちの姿もちらほらと見える。

 倶知安で下車。駅前広場の「くっちゃん水」を飲み、水筒に収める。SL乗車を含め、こうした
行動の発端となったのは、花輪和一という漫画家の「コロポックル」という作品だ。この作品では
少女がニセコ号に乗り込み「くっちゃん水」を汲みに行く様子が、作者ならではの不条理な筆致で
描かれていた。まあマンガと同じ行動をしてるワケだが、なかなか面白いよ。


 朝食が少量だったためか、我々は度し難い程の空腹感に苛まれていた。そこで駅前の食堂でソバ
を食べ、SL乗車に万全の準備を整えるのであった。
 そしてSLニセコに乗ったのだが、う〜ん、乗っちゃうとSL見えないんだよな。カーブ時に窓から
身を乗り出せば先頭方向は見えるんだけど。
 車内は良い感じにレトロ調なのだが、モミジの造花とかスピーカーからのSL効果音は要らないと
思う。折角なんだけど余計なサービスだよな。

 えーと、でもって妻さんが「運転士様と記念写真が撮りたい」と言い出す。いや、実は私も運転士様
や機関士様はかっこいいなあ、と思っていたので、なんとかその御姿を撮りたいと思ってたのだ。
 チャンスは折り返し地点の蘭越だろう。ここで運転士様もしくは機関士様にお声をかけよう。

 車窓を見ると、鉄道沿いの道路や踏切で車を停め、SLに見入る人々が居る。やっぱりSLってみんな
スキなんだな。
 首尾良く写真も撮り、小樽に帰着した我ら。自動車を回収して昨日のガラスを受領し、また
しても回転寿司「とっぴ〜」で食事し積丹に向かうのだが、なんだか一連の出来事が夢の中だった
かのように現実感が無い。

 積丹町の隣町、古平温泉「一望館」で入浴。積丹町に温泉施設が新規開業したためか、えらく空いて
いる。こっちのほうが温泉の質も良いのに、お月様、人は新奇なものに流れてしまうのでしょうか。