ボランティアで、近所の知的障害者通所更生施設に行く。
なんで行くことにしたのか?と書き出すと話が長くなるので省略するが、まあとにかく思うところあって、妻と。

 ここは知的障害のある人々が日中通い、各種のレクリエーションや工作を行う施設である。
妻は事前に下見兼打合せをしていたので、そのアドバイスを聞いておく。

「一口に知的障害といっても、その状態は人それぞれである。たとえば自閉症気味の人は外向的ではないし、また、ある一つの事象にとことんこだわる人もいる。ずーっと寝っ転がってる人もいる。アナタは知的障害者の集団には慣れてないだろうから、最初はびっくりすると思うし、場合によっては肌に合わないかもしれない。」

 なるほど、いろいろなんだな。と、この程度の予備知識で現場に臨んだ。

 朝、館長さんと軽く打合せをした後、皆さんに接する。最初は礼拝だったかな(ここはキリスト教系列の施設なので)。「主の祈り」なんて久々に耳にしたよ。皆さん、祈りの文言はあまり唱えないけど、最後の「アーメン」はとても元気が良い。
 続いてレクリエーションということで「玉入れ」が行われる。大騒ぎ。ここでちょっと印象に残ったのは、非常に正確なボールキャッチを行う人がいたこと。全体的に緩慢な動きの人なのだが、職員さんとのボールのやりとりに関してはとてもスムーズだ。
 
 このようにしている間にも、何人ものみなさんが私に接触してくれる。最も多いのは手を握るという動作で、これに加えて名前を聞いてくる人もいる。また言語コミュニケーションは無いものの、手のひらを合わせたり(ハイタッチみたいな感じ)、掲示してある献立表の特定のメニューに私の指を誘導する人、目が合うとニコニコ笑う人など、ほんとに多種多様なコミュニケーション手段があるんだな、と感じる。

 でもって昼食。本日のメニューはスパゲティミートソース+スープ+ポテトサラダ+コーヒーゼリーなのだ。食堂に集まって食べるんだけど、障害の度合いによるのかな?先行して食べてる人もちらほらとおりました。また通常の料理形態ではなく、「きざみ食」も必要に応じて供されておりました。
 みんなでお祈りをして、食事スタート。他に注意がいっちゃって、なかなか食べない人もいたけど、総じて皆さんおいしそうに食べてたよ。私の隣に座ってた人は、下膳の時に私の皿や盆も一緒に片づけてくれた。親切な人なんですな。


 食後の歯磨きをすませ、午後からは作業が始まる。ここでは木工と機織り、貴石細工と陶芸が行われており、私は陶芸班、妻は機織り班に参加する。

 私は陶芸をしたことが無いので、職員さんに簡単なレクを受けた上で、とりあえす勝手に製作する。
ろくろの上に一定の厚さで陶土を伸ばし、円形に抜く。これが器の底部。その上に、ヒモにした陶土をリング状に成形し、段々に重ねて器の側壁を作ってゆく。私は女の子とチームを組み、彼女がヒモ作り、私が成形を担当したのだが、ううむ、なかなか一様な太さのヒモができてこない。彼女が作ったヒモを、私がこっそり練り直し、再成形してしまう。これは良いのか悪いのか。

 向かいでは男性が大きな声で「うー!うー!」と言いながら、非常に大きな作品を作っている。ずいぶん前から取り組んでいる作品のようで、すでに高さは40cmほど。陶土をなじませる過程で付いた指の模様が、なかなかいい感じ。


 そうこうしてるウチに15時過ぎとなり、今日の作業は終了。皆さんは思い思いに過ごしながら、迎えに来る家族を待つのでした。
 とまあ、こんな感じで、役に立ったんだか立ってないんだかイマイチ分からないながらも、本日のボランティア活動は終わった。