子供の頃、

家族旅行の行き先だった「簗場」。
ここに久方ぶりに行ってみる、というのが我々の遅い夏休みの計画なのである。

自分にとって特別な思い出のある場所なので、事前にいろいろと準備をした。
下の写真は国土地理院の2.5万図と5万図。本当は必要ないんだけど、トレッキングに行くつもりなので雰囲気を盛り上げるために購入した。

そして、普段使ってる簡単デジカメに加え、もうちょい性能の良いデジカメを会社から借りだした。

また、大町市内の市民バス時刻表。今回の旅行は公共交通機関のみで移動したいと思ったのだ。

さらに、淡水魚・野鳥・昆虫それぞれの簡易図鑑。これは、かねて用意の双眼鏡を使って、いろいろな生物を観察・同定するために。


このように仕込みを済ませ、新宿駅発10:00の「スーパーあずさ10号」に乗り込んだ我々は松本に12:31に着き、大糸線に乗り換えて13:10に松本を発ち、信濃大町に14:06に着き、ほぼ一時間後の15:04に信濃大町を出発し、15:22遂に簗場駅に到着したのでした。

記憶にある古い駅舎は当然ながら既になく、ログハウス風に建て直されていた。


駅に向かい合う「しゃくなげ荘」は、子供の頃に土産物(野沢菜茶漬とか)を買う店だったんだけど、既に廃業して久しい感じ。建物だけが昔のままなのが哀愁だなあ。

「しゃくなげ荘」脇の道を中綱湖に向かって下る。むかしは急傾斜の下り坂で、その先の橋も木造だったのだが、現在では橋も含めてゆるやかな傾斜となっている。

橋ちかくのヤナギを憶えていた。当然ながら大きくなっている。


このあと我々は宿に入って荷物を置き、中綱湖の散策に出かけた。貸しボートの小屋も今はなく、ブラックバスを狙う釣り人が目立った。

湖の中央部にカモの群れがいたんだけど、10倍の双眼鏡では細部まで良く見えない。後に宿で図鑑を見たが、どの種なのかを確実に判断することはできなかった。

で、鳥を見るのは諦めて、もと水田らしい沼地でスイレンを見る。スイレンは動かないから見やすいのだ。


昔、父親が釣りをしたボロ桟橋も新しいものに替わっていた。



中綱湖を後にして、子供時代の定宿「民宿おおやけ」に行ってみる。もう営業はしていないことは知っていた。
駅から続く道の突き当たりにある神社は昔のままに見える。


ああ、そういえば「おおやけ」の入口は狭かったんだ、と現場を見て思い出す。

建物も特に変わった所はなく、昔のまま。よく遊んだ水路も同様。


庭木の手入れをしている方に声をかけると宿の主人で、私のことを憶えておられた。
自分から名乗った訳ではなく、ただ私の顔を見て、昔の面影があるとすぐに分かったのだそうだ。
しばらく、当時の話や、当方の両親や兄弟が今どうしているのか、といった会話をする。

私がいかに「いうことを聞かない問題児」であったか。それによって「リュック背負って一人で帰りなさい!」と母親に怒られた件についても教えてもらった。そういえばそんなことがあったような気もする。

しばらく話して、宿にもどる。


今回、簗場で泊まった宿に関しては、あまり書くことがない。冷え切ったカボチャの天ぷらと、ドロのにおいがきついニジマスの塩焼き、キノコ狩りのガイドをお願いしていたのに全くやる気の無い対応など、書けば文句ばかりになってしまう。